カランメソッドとは?英会話上達に効果的なの?デメリットは?

フィリピン留学では、英語授業にカランメソッドを採用してる学校があります。カランメソッドについてよく質問されるので、英会話学習における効果やメリット・デメリットをまとめておきます。

効果的な英語学習法のカランメソッド

僕は、2012年にフィリピンでメソッド授業を受けましたが、効果がないと思って3日で止めました。でも、その後、いろんな学校でメソッド授業を受けて、考えが変わりました。メソッド授業は、生徒がしっかり意図を理解してないと効果が半減しますし、先生がルールに従ってるだけでもダメです。イギリス、カナダ、マレーシアでも英語授業を経験して、タイ語、スペイン語も勉強して、いろんな授業を経験するなかで、メソッド授業にすごく詳しくなりました。僕のように3日でやめないように、メソッド授業の注意点をお伝えしたいと思います。

カランメソッドとは?

カランメソッドとは?
カランメソッドとは、スピーキング力を伸ばすための学習方法です。先生の定型文の質問に、決められた文章で正確に答えることを繰り返します。通常のレッスンに比べて4倍のスピードで英語を取得できると言われています。

カランメソッドは1960年代にイギリスで生まれた英会話の勉強方法です。Mr.カラン氏が発案したのでカランメソッドと言います。世界40カ国、500校近くが導入してるようです。

特徴は3つ!

  1. イギリス発祥のダイレクトメソッド
  2. 英語脳を鍛える
  3. 通常の4倍の速さで英語が習得できる

授業の様子は公式サイトの映像が参考になります。

全然楽しそうでない(笑)。公式サイトの映像はグループクラスですね。だから、フィリピンのマンツーマンレッスンでカランメソッドをそのまま使うのは適切ではないと思います。

学校によって、授業の構成はさまざまですが、Callanスクールの通常の50分授業は、約35分のスピーキング、10分のリーディング、5分のディクテーションで構成されています。そして、リーディングとディクテーションの練習は、しばしば授業の途中で行われます。

リーディングでは、学生の皆さんに声を出してテキストを読んでいただき、講師が皆さんのミスを訂正します。ディクテーションはライティングの練習ですが、講師の言う内容の聞き取りも行われます。すなわち、Callanスクールの50分授業は、黙っている暇のない、50分の英会話漬けの時間です。

カランメソッド公式サイト

カランメソッドは同じ文章を繰り返し言う反復練習で、反応スピード・瞬発力を鍛えるのに効果的です。野球で例えるなら、本を読んで、素振りをして、試合に望む。素振りに該当するのがカランメソッドだと僕は解釈してます。

詳しいことは、イギリスの公式サイトにほとんど書いてます。1ページだけ日本語ページがありますが、英語の勉強と思って英語ページも読んでみてください。

カランメソッドの英会話授業の解説

授業の流れ

授業はシンプルで、先生が2回質問して、生徒が1回答えるだけです。先生は答えも言いますので、生徒は答えをなぞるような感じになります。答えは単語ではなく、文章です。文章で答えて、文法を体にしみ込ませていきます。ステージ1はThis is a pen.から始まるので簡単すぎると言う方がいますが、案外スラスラ言えません。知ってる英語知識を使えるようにするトレーニングです。

Is this a pen?
Is this a pen?

Yes, it’s a pen.

Is this a pen?
Is this a pen?

No, it isn’t a pen. It’s a pencil.

カランメソッド ステージ1

質問に答えたらすぐ次の質問がきます。答えはだいたい決まってるので、意見を考える必要はありません。意見がなくて答えられなかったり、いい答えを言おうと思って悩むことも少ないです。雑談も生まれにくいので、生徒が英語を話す時間が確保できます。繰り返し繰り返し言葉にした文章は使えるようになっていきます。授業でスムーズに言えない文章は、日常でもスムーズには使えないです。

ジェネラル、ビジネス、キッズの3つのコース

カランメソッドは、英語とスペイン語に対応していて、英語にはジェネラル、ビジネス、キッズの3種類のコースがあります。一般的にカランメソッドと言われているものは英語のジェネラルコースのことです。

テキストはステージ12まで

英語のジェネラルコースのテキストはステージ1からステージ12まであって、初心者から上級者までに対応しています。最近のテキストは半分近くが索引です。DMEと比べてカランメソッドはテキストが古いと言われますが、2012年、2013年、2014年と更新されています。2023年版が最新テキストです。

カランメソッド テキスト

参考まで、カランメソッドのステージ2のテキストを紹介しておきます。最初に単語の説明があって、その後に、質問文が記載されています。(カランメソッド公式サイトより)

カランメソッド ステージ2のテキスト
カランメソッドのステージ2のテキスト

カランメソッドアプリ

あまり知られてないですが、カランメソッド受講者は、オンライン教材で自習できるようになります。スマホアプリとeラーニングがあって、認定校で受講するとアカウントが発行されます。

質問を再生して答えたり、自分の解答を録音して、模範解答と比べたりできて便利なのですが、そのディクテーション機能では、一文単位ではないし、イギリス英語で書かないと間違いになります(例:pantsはtrousers、colorはcolour)。イギリス英語にこだわるところは日本人向けではないと感じます。ちなみに、iPhoneアプリは2016年にリリースされてますがレビューはかなり低いです…。便利な部分もありますが、日本の英語学習アプリのほうがよくできています。残念です。

カランメソッドは効果がない?5つのデメリット

カランメソッドの学習効果は賛否両論です。「効果はない」「退屈だ」という意見もあります。人それぞれの意見があって当然だと思います。ただ、ネットの情報を見ていると、間違いや誤解が多いです。それは、1つの学校でしか授業を受けてない方が書いた記事、宣伝のための記事、質の低いメソッド授業を受けた生徒の記事が多いからだと思います。

僕は、英語学校と共同で独自のメソッド授業を作ったこともありますので、カランメソッドのメリットとデメリットを知っています。すごく効果的だと書かれていたら反論したくなりますし、効果がないと言い切られても反論したくなります…。そういった観点から、デメリットと感じる点を5つ紹介させていただきます。

デメリット1. グループクラス前提の授業ルール

カランメソッドはグループクラスを前提に1960年にイギリスで作られた勉強方法です。グループクラスが前提なので、1人1人に時間をかけられません。先生が2回質問したら、生徒は1回答える。生徒は先生の解答をなぞりながら、上手に言えても言えなくても進んでいきます。1960年頃に作られたものなので、考え方が古いと感じる箇所があります。

いまはオンライン英会話もあるので、マンツーマンレッスンとグループレッスンでわけてには授業を最適化したほうがいいと思います。

デメリット2. 日本人にとって不自然な例文

テキストはイギリス英語で書かれていて、意味不明な質問や、答えに戸惑う質問があります。例えば、

Are my ears on the back of my head?
No, your ears aren’t on the back of your head. they’re on the sides of your head.

カランメソッド ステージ2

Has he only got one hand?
No, he hasn’t only got one hand. he’s got two hands.

カランメソッド ステージ2

上はステージ2のテキストで出てくる質問と解答ですが、いきなりこんな質問をされると混乱してしまいますよね…。こういう例文が英語学習に最適だとは思いません。

また、ヨーロッパの地名や固有名詞がでますが、日本人にはあってないと思います。例えば、

London is a city. Windsor is a town. Grantchester is a village.

Is Windsor a city?
No, Windsor isn’t a city. it’s a town.

カランメソッド ステージ1

上のような質問は、地名の知識がない日本人は詰まってしまいます。レスポンスを鍛えるトレーニングなのに、日本人は単語で詰まってしまうのです…。なぜGrantchesterかというと、カランメソッドを作ったカランさんがGrantchester出身だからです(笑)。

デメリット3. 英語の文法と発音は日本語と全く違う

ヨーロッパの人たちは、母国語の文法や発音が英語と似てるので、繰り返し英語の文章を発声することで英語が話せるようになるのかもしれません。ですが、日本語と英語では、文法と発音が全然違います。ですから、日本人はカランメソッドだけで英会話が上達するわけではないと感じます。

一般的に、初心者におすすめとか、予習は不要とか言われています。が、学習意図を理解していれば、中級者でも学べます。また、受講前に基礎文法を身に着けておくのは必須だと思いますし、予習もしたほうがいいと僕は思います。授業内で発音矯正をすることもありますが、時間は割きにくいので、別途発音授業を受講することをおすすめします。

デメリット4. カランメソッドが目的化する生徒が多数

日本人はプロセス重視の人種です。だからなのか、カランメソッド自体が目的になってしまう生徒がたまにいます。カランメソッドはトレーニングです。練習が目的になってはいけません。授業で覚えた文章は、実際のリアルシーンで使うように意識してください。そして、続けてください。そうでないと効果は感じられないです。

デメリット5. 英語で質問する力は身につかない

カランメソッドでは、生徒は質問に答えるだけなので、自分から質問をするトレーニングはできません。ですので、DMEという勉強方法では生徒が質問する要素が追加されていますし、一部の学校でも生徒も質問するように改良されています。正式認定校は質問に答えるだけです。

カランメソッドが効果的な授業になる条件

僕は2012年にメソッド授業をはじめて受けました。当時の僕は、学習意図を理解していなくて、退屈すぎて3日で止めましたが、同じように退屈と感じる方が多いです。

カランメソッドは日本人の英語学習に最適化されていると思いませんが、学習意図を理解して上手に使えば効果的な勉強方法だと思います。実際、英語力が上がった生徒もたくさん見ています。英語が上達してる生徒に共通してるのは、以下の2つです。

  1. 先生がカランメソッドの学習意図を理解して信じている。更に、経験が豊富でモチベーションが高い
  2. 生徒がカランメソッドの学習意図を理解して信じている。更に、基礎単語と基礎文法を理解している

カランメソッドをキャッチコピーとして使ってる学校は先生の経験が浅いことが多いです。1年の経験しかない先生と、5年の経験がある先生はどっちが上手かは明らかですよね。学校からすると、先生にマニュアルを渡しておけば、ある程度、授業の品質を均一化できるというメリットもあります。経験が浅くてルールを守るのに精一杯の先生の授業は本当にお粗末です。

あと、4倍速で英語が身につくと安易に飛びついた生徒は失敗してることが多い印象があります。4倍速という言葉に期待しただけで、授業意図を理解してないので、文法の質問ばかりしてしまったり、不自然な会話文に気持ちが入らず途中で挫折しています。英会話の基礎つくりのために、反復練習するぞ!という気持ちがなければ受けないほうがいいです。

以下は、イギリスでカランメソッドを受講して、その後、英語学校を設立した、日本人英語教師の感想です。

英語ができる優秀なフィリピン人は、英語の先生をやらずに、もっとお金が稼げる仕事に就きます。だから、言葉が悪いですが、そこまで優秀ではない人が講師をやってることが多いんです。その結果、先生の文法が微妙なときがあるんです。オンライン英会話でも先生の文法間違いが気になって、先生が信用できなくなる生徒がいるんです。信頼してないと、授業は成り立たないじゃないですか。でも、カランメソッドなら、会話に正解があるんです。ひたすら訓練するって意味では、カランメソッドはすごい良い勉強方法だと思います。

初心者がカランメソッドを受ける際の注意点!

カランメソッド対応の英語学校

カランメソッドに認定されている学校を正式認定校と言います。正式認定校は、ブランドネームを使えて、テキスト、公式アプリが利用できて、先生の研修を受けられます。

フィリピンにある正式認定校

フィリピンの英語学校でカランメソッドの正式認定校は現在1つだけあります。セブにあるQQイングリッシュ、NILS(Newtype International Language School)は閉校して、IDEAは認定校から外れています。あと、非公式でカランメソッドを採用してたり、カランメソッドを日本人向けに改良している学校もあります。

正式認定校のほうが効果的な授業を受けられそうですが、そうではないのはメソッド授業の難しいところです。カランメソッドの学習ルールは、マンツーマン授業で日本人を教えるために最適化されているわけではないからです。いろんな学校でメソッド授業を受けましたが、公式認定校のほうが授業の質が高いとは一概に言えません。

カランメソッドが自分にあうか分からない場合は、オンライン英会話の無料レッスンを体験することをオススメします。無料レッスンでは英語レベルのチェックだけで終わることもありますが、雰囲気を掴んでから受講するか判断したほうがいいです。

オンライン英会話

オンライン英会話でカランメソッド正式認定校は3つあります。英会話ジオス、ネイティブキャンプ、QQイングリッシュです。認定校の授業はだいたい同じですので、体験レッスンはどこで受けてもいいと思います。

カランメソッドの体験談

フィリピン留学体験談では、以下の口コミが参考になります。

カランメソッドでは、先生は生徒に必ず2回質問します。「Do you want to drink coffee? Do you want to drink coffee?」と。生徒はそれに対して1回でフルセンテンスで答えるんです。それを、すごいスピードで繰り返すんです。ある程度英語が喋れる人が英語力を伸ばそうと思うと、ティーチングメソッドがないと、ただの雑談になってしまうんです。雑談だったらその辺に外国人の方とお茶してればいいんです。

英語中級以上ならカランメソッドなどの教育メソッドがない学校だと雑談になるから注意!

CLメソッドやカランメソッドは、シーンを決めて質問するから、意見があまり入らないので、答えには悩まないんですよ。そうすると授業の中の会話密度が上がるんです。

ストーリーシェアのメソッドって何?英会話学習に効果的なの?

カランメソッドは先生の質問に対して、すばやく正確な文法と発音で返答する授業。頭をすごく使うので、やった後はすっきり感があります。

QQEnglishのカランメソッドの感想!

とにかく僕が意識してたのは英語を喋ること。英語を聞くだけで喋れるようになることを完全否定はしないですけど、留学中は英語を喋る環境があるんだから、とにかく喋ることが大切だと思います。カランメソッドはうまくいけば授業の半分喋れるし、先生がうまければ、もっと喋れるから良いと思います。

短期の英語留学生が知っておくべき「勉強」と「練習」の違い!

カランメソッドの改良版のDME

カランメソッドを改良したDMEという勉強方法もあります。DMEは、2000年から約7年かけてつくられた英会話学習法です。その学習効果の高さで口コミが広まり、すでに世界10ヵ国以上の300スクール以上に取り入れられているそうです。生徒が言えるようになるまで繰り返すので、僕はDMEのほうがいいと思ってます。

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