日本とフィリピンの大学で社会学を学ぶ大学生の体験談。日本とフィリピンは社会課題が違う。日本では安楽死、フィリピンではミンダナオのモロ民族の社会問題を学んでいました。
フィリピンで社会問題を勉強した体験談
フィリピンのUPに交換留学してます。いま大学4回生です。大学1回生の夏休みにはセブのフィリンターに短期留学しました。セブは3週間でした。いまはマニラです。UPでは社会学を学んでいます。
社会学の中では何を専攻しているんですか?
社会文化プログラムという所に属していて、色々な社会問題を勉強してます。専門は固まってないです。卒業論文は、日本で働いたことがあるフィリピン人に「どうして日本で働きたかったのか?」「日本で得られたもの。」「日本の社会の環境に対してどう思うか?」といったことを調べようと思っています。それが、UPに交換留学した目的の1つです。
社会学を専攻している大学生は、どういうところに就職するんですか?
文系だと特にないですね。研究職もあるんですが、よほど強い関心、興味がないと難しいです。
ただ、専門が社会系なので、フィリピンの貧困の状況や途上国の問題を知りたいです。将来的にそういう仕事に就けるかは分からないけど、何かしら貧困問題に関わりたいと思っています。
いまは、マニラで開発系のインターンに入っているので、ソーシャルワークの授業と開発系のインターンを経験したいです。そうすることで、どうやったら将来貧困問題に関われるかを模索していけたらと思っています。
社会学を日本で勉強するのと、途上国で勉強するのでは、違うんですか?
全然違います。日本とフィリピンでは抱えている社会課題が違うんです。日本で私が勉強していた社会問題は、日本のホームレスや生活保護を受けている人の問題。東日本大震災で地域のコミュニティがどのようにバラバラになっていったか。政治がなぜ変わらないのか。心静止の問題。人工呼吸器で生きているのは生きていることになるのか。尊厳死や安楽死の話とかなんです。
ミンダナオのモロ民族の問題
でも、安楽死の問題やホームレスの問題はフィリピンではやっていないです。フィリピンだと、ミンダナオのモロ民族の問題があります。モロ民族が自分達の資源の権利を主張してるんですが、国がそれを許さなくて。大きな企業が入ってきて、モロ民族の人達が殺されてしまうようなことが起こっています。
日本だと大きな社会問題として取り上げられるものがフィリピンでは関心がなくて。逆に、日本だと絶対にありえないような社会問題がフィリピンにはたくさんあるんです。それは、フィリピンに来てわかったことでした。先進国と途上国で社会問題が違うんです。
途上国の社会問題を肌で感じるのも、海外留学の大きな価値ですね。
(2015年11月22日(日)マニラにて)
編集後記
僕はミンダナオのモロ民族の問題は知りませんでした。ミンダナオのことを考えるいい機会になりました。カルチャーショックを受けることもあると思いますが、日本とフィリピンの文化の違いを学ぶのもいい経験になると思います。
フィリピンが今後も経済発展を続けるうえで重要な鍵を握るのが、ミンダナオ島の平和構築といわれています。この地域では1970年以降、自治を求めるイスラム系住民を中心としたグループとフィリピン政府との間で武力紛争が繰り返されてきました。しかし、2014年に「モロ・イスラム解放戦線」(MILF)と政府の間で和平合意に至ると、2018年7月にバンサモロ基本法が成立し、2019年1月と2月に行われた住民投票の結果、ミンダナオに新たな自治政府が2022年に設立されることになりました。
https://www.jica.go.jp/aboutoda/ikegami_sdgs/vol3_3/index.html
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