この1年半、留学ラジオのインターンとして学校の授業体験をさせて頂いています。SatoKoumeです。
Satokoume
旅好きの40代主婦。子育てに専念するため、中学校英語教師を15年で退職。現在は塾講師として中学生に英語を教えながら、一人娘の英語教育をサポート中。フィリピンの親子・子供向け学校に詳しい。
最初に学校訪問したのは2018年6月。3泊4日で、DETiという学校を体験しました。子供を持つ親の目線で、子供向けの学校を経験してくださいということでした。DETiはネグロス島ドゥマゲテにあって、異文化交流したり、体験することを大切にしている学校でした。
体験による学習を通して、異文化と出会い、コミュニケーションすることを大切にする英語学校
DETi学校サイト
確かに、私がDETiで得たものは、「英語力」というよりも、「英語学習への意欲」です。10年前に戻れるなら、娘とDETiに親子留学したい。そんな風に思った学校でした。
10年前、当時、娘は7歳(2009年)。そろそろ日本以外の国を見せてあげたい、海外でしかできない体験をさせてあげたいと思って、親子留学を調べていました。英語の勉強というより、異文化に触れさせてあげたかったんです。
私が20代前半で経験したようなアジア旅を娘としたかったけど、さすがに7歳児には厳しい。でも、親子留学なら、滞在場所も固定だし、親以外のサポートも受けられるから、海外生活を体験するにはベストだと思ったんです。しかし、ハワイやグアムの親子留学は、日程、予算が合わず断念…。結局行きませんでした。あの時、フィリピン留学の情報は僅かだったし、途上国に幼い子供を連れて行くイメージが湧かなくて、完全対象外でした…。でも、もし行っていたら、すごくいい経験ができたと思います。
はじめての海外1人旅
行く前は一人で学校までたどり着けるのかとても不安でした。海外経験はあったけど、いつも航空チケットはHIS任せだったし、はじめての一人旅だったからです。ましてやフィリピンです。でも、自分を奮い立たせ、
初めて、
自分で、
ネットで、
航空チケットを買いました(笑)!決済ボタンを押す手が緊張で震えたのが、今、思うと懐かしいです。
DETiへの行き方
DETiはネグロス島のドゥマゲテ空港からさらに南下したザンボアンギータにあります。日本からドゥマゲテ空港には直行便がないので、マニラ空港かセブ空港で国内線に乗り換える必要があります。私はマニラ空港で乗り換えましたが、片道12時間かかりました。飛行機はセブパシフィック、片道15560円でした。
左右にスクロールすると表が表示されます。
出発 | 到着 |
---|---|
20:05 福岡空港 | 23:00 マニラ空港(ニノイアキノ) |
4:40 マニラ空港(ニノイアキノ) | 6:15 ドゥマゲテ空港 |
6:45 ドゥマゲテ空港 | 8:00 学校 |
このスケジュールは深夜移動なので、お子様連れにはお勧めしません!もし、私が小学生以下の子供と行くなら、マニラのトランジットの時間を長く取って、空港併設のホテルに宿泊するか、お昼の便にします。この時、私は4日間だけの滞在で、到着初日の1時間目から授業を受けたかったので早朝便にしました。ですが、かなりの強行スケジュールでした(汗)。
マニラ空港には一度来たことがあったので少し余裕がありました。両替を済ませた後、空港内マッサージ店で3時間仮眠しました。受付で出発時刻を伝えておくと起こしてくれるらしいですが、本当に起こしてくれるかは分からないので、自分でもタイマーをセットしていたほうがいいです!
3時には国内線のセキュリティチェックを通過して、ドゥマゲテ行き搭乗ゲート前に到着しました。寝過ごせない緊張感と襲ってくる睡魔でもうグデングデン…。椅子に横になっていたら、警備の人にトントンと起こされる始末。4時40分までの時間はきつかった…。
マニラからドゥマゲテまでは1時間半のフライトでした。遅延もなく、早朝6時15分に到着!
ドゥマゲテ空港は規模が小さくて、バス停みたいな空港でした。飛行機のタラップを降りて、200メートルくらい歩いたらもう空港出口。本当に小さい空港でした。でも、ちょとした売店はありますし、Wi-Fiは使えました。
出口横のベンチに座って学校ピックアップを待っていたら、DETiのフィリピン人ドライバーAtingが「Hi!」と声をかけてくれました。
それから1時間ちょっと海岸線に沿って車を走らせ、ドゥマゲテの町を通り抜け、学校のあるザンボアンギータまで移動しました。
学校はバスが通る道から少し奥に入った所にあります。標識はあるのですが、入口が少し分かりづらいです。
ドゥマゲテ空港から学校までは自力で行くことも可能です。トライシクルを2、3回乗り継いでバスターミナルまで行き、そこから学校最寄りのバス停まではバスで一本です。
次は自力で行けると思いますが、私はピックアップをお願いしてよかったです。フィリピンが初めての方は、学校に空港ピックアップをお願いしたほうが安全だと思います。
日本からDETiまでのアクセスは決して良いとは言えません。直行便がない上に、ドゥマゲテ空港から学校までも車で1時間少し離れています。
でも、だからこそ、手つかずの大自然があるんです。マニラやセブの街中の喧騒な雰囲気はまったくなく、あるのは自然、自然、自然…です!
ザンボアンギータの自然環境
8時前には学校に到着しました。この時点で頭すっきり、眠気すっきりです。「五感が研ぎ澄まされる感覚です!」と言ったら大袈裟でしょうか(笑)。学校の門をくぐると、もう長旅の緊張と寝不足による疲れはすっかりなくなっていました。
校舎の目の前には青い空、青い海、白い砂浜がドーンと広がり、ウシやヤギ、鶏、いろんな動物たちの鳴き声が潮風に乗って聞こえてきます。
「モ~、メ~、コケコッコ~!」
ちょっと古いですが、「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」(1981年)という世界名作劇場テレビアニメをご存知の方であれば、あれをイメージしていただきたい(笑)。
「潮風を♪ 頬にうけ、裸足で駆けてくぅ~♪ 振り向けば♪ 白い砂、私の~足跡~♪」
そんな雰囲気です。
広い学校の敷地内には「ウミガメのテラス」「ビーチハウス」「ココナッツステージ」「バンブーハウス」などの宿泊施設や授業スペースが点在しています。ヤシの木がニョキニョキ、マンゴーの木はモリモリ。プールがあって、ハンモックがあって、近くにはシェパードがくつろいでいます。
学校の目の前は海です。透き通っていて、泳いでいたら間近でニモなどの熱帯魚が見れるそうです。学校にはプールもあります。場所によって深さが違っていて、一番深いところで2mあるそうです。
プールサイドの岩から飛び込んで楽しむも良し、浅いところで涼を取るのも良し。残念ながら、水着を持っていってなかった私は、足先だけの海水浴となりました(泣)。DETiに行くなら水着は忘れずに!
到着すると、オーナーの高橋大海さん、奥様の中里春菜さんが待っていてくださいました。挨拶の後、部屋へ案内していただきました。
ウミガメのテラスの1F
トイレ、シャワー付きのお部屋でした。部屋で荷解きをしていると、戸の向こうから楽しそうな声が聞こえてきました。滞在している他の留学生がダイニングで朝食を食べていました。その時に滞在されていたのは、お子様連れの2家族、インターン大学生3人でした。
食事
皆さんにご挨拶を済ませると早速、ミッション…
「朝食まだでしょう?適当に食べてくださいね。朝食は、パン、卵…、この辺にあるものを自分で組み合わせて準備するんですよ。」
「適当…」という言葉に戸惑いながらも、取りあえず準備してみました。フライパンで目玉焼きを作り、パンを焼いて、マンゴー、バナナ、スープ、コーヒー。なかなか充実のモーニングです(笑)。
到着して1時間で、勝手の分からないキッチンで朝食を準備して、初対面の皆さんとお食事をしている…。「もうこれは流れに乗るしかない(笑)。」と思いました。遠慮したり、躊躇していたら、経験も半減ですから。まさに「Learning by doing(実践を通して学ぶ)」ですね。
ちなみに、昼食と夕食はフィリピン人スタッフが作ってくれた料理がダイニングテーブル中央に大皿で置かれて、各自が好きなだけお皿に取り分ける感じです。大家族が食卓を囲む雰囲気です。DETiでの食事は楽しくて美味しかったです。和食もあったしお店では食べたことのないフィリピン家庭料理が食べられて貴重な経験でした。
食事はフィリピン人スタッフが一人で手際よく料理されていました。時間が空いた時は子育ての話とかをしながら、一緒にキッチンに立たせて頂いたのもよい経験でした。DETiにはクッキングの授業もあるそうです。フィリピン家庭料理を英語で学ぶのは面白いと思います。
授業
さて、いよいよ授業についてです。これが事前に渡された今回のスケジュールです。
ご飯を食べたら、レベルチェックテストがありました。これが結果です。
レベルは中上級でしょうか。
3日間は本当にあっという間でした。その中で印象深かったことを紹介させていただきます。
体験学習のミッションデー
DETiの授業はアクティブラーニングを採用しているのが特徴です。毎週水曜日がミッションデーと呼ばれていて、先生と一緒にお出かけします。火曜日の授業では準備をします。私はインタビュー項目をリストアップしました。水曜日に実践して、後日、その経験をみんなに報告するような流れです。
- 近くのローカルマーケットでお買い物
- 孤児院で子どもたちと文化交流
- 現地大学に出かけ日本語を教える
等々、いくつかプログラムが用意されているようです。私には「マラタパイ水曜マーケットでお店の人にインタビューをしよう!」というミッションが課されました。このマーケットは毎週水曜日だけ開催されているそうです。
水曜日、トライシクルに20分くらい乗って、先生と二人でマーケットへ出かけました。あいにくの雨でした…。
路上にいろんなものがところ狭しと並べられていました。
見慣れない野菜や果物
魚やお肉、玩具や衣類。家具やインテリア、バッグや靴もあります。
お買い物もしました。淡水パールのピアスと編籠。お土産屋さんで買うより断然安かったです。
忘れられないのがライブストックマーケットです。ここは入場料が必要です。動物たちが売り買いされていて、人と動物が大声で言い争っていました。
すごいですよね。
東南アジア旅行をしたことはあったけど、あれほど地元の熱気に包まれたのは初めてでした。
直前まで雨が降っていたので、雨と泥で地面がゆるゆる。人間も動物たちも足元も背中も泥だらけ。
でも先生の話によると、雨が降ってなかったら、もっと臭かったそうです…。
途中、可愛い籠を売っているお店があったので、そこで商品や商売のことについてインタビューしました。お店の方は英語ではなくビサヤ語を話されるので、インタビューは先生を介してになります。初対面の方に、通訳を介して話しかけるのは難しかったです。会話が盛り上がらず、あまり多くの情報を引き出せなかったです…。相手の言葉を引き出すには、英語力だけはなく、コミュニケーション力も必要ですね…。ミッション失敗気味。
翌日の活動報告は、お店の方の話を少しだけ入れて、「どれだけ私が水曜マーケットを楽しんだのか!」という話にして、なんとか乗り切りました…。
このミッションデーの光景は1年経った今でも鮮明に覚えています!見るもの、触るもの、すべてが珍しくて、引率してくれた先生に「あれ何?これ何?」とずっと聞いていました。本当に楽しかったです。
Show&Tell
Show&Tellの授業もすごく印象に残っています。「思い入れのある何か」について、第3者に写真や物を見せながら、英語で説明する授業です。事前にShow&Tellをすることは知らされていたので、日本でかなり周到に準備して行きました。
私のテーマは「お気に入りの絵本作家」
絵本作家は娘のことです。小さい頃に娘が作った絵本を1冊持っていきました。
人前で話すのは得意ではありませんが、伝えたい何かがある時は喋りたいエネルギーが湧き出るもので、渡航前からShow&Tellは楽しみでした。授業は言いっぱなし、聞きっぱなしではなく、発表者と聞き手が話の内容に関して問答するのが良かったです。
Show&Tellは同じ内容で、マンツーマン授業、グループ授業で各1回ずつ計2回しました。だから、このネタだったら今でも5分位は語れます!事前準備のおかげもあって、質疑応答のやりとりまで難なく進めることができましたが、欲を言えば…、これを事前準備なしで、出来るようになりたいです。場数が必要ですね。
DETiの授業は、全体的に大きな負荷もなく、楽しい感じでした。毎日、授業に向けて予習、復習をバッチリやっていたわけではないですし、いくつかの授業は、展開が読めず、先生の指示に従ってついていった感じです。Show&Tellやミッションデーの活動報告の際に、先生達からの次々質問されるので、人前で即興で英語を話すことは多少鍛えられたかなと思います。
ただ、映画の授業で「となりのトトロ」を使った教材は、私は正直モチベーション高く望めなかったです(苦笑)。映像を見ながら、ディクテーションを行うのですが、セリフがない時間も多くて…、聞き取れないと、また長い映像を見ないといけないので。英語の勉強としてはちょっと非効率だなと感じてしまいました。でも、子どもには良いと思います。
学校の雰囲気
滞在中、2組のご家族とご一緒させていただきました。お子さん達は幼稚園生のお姉ちゃんと2歳の妹さん。それに同い年位の男の子。小さい子にはシッターさんが、大きい子には先生が付いてレッスンをされていました。お姉ちゃんの授業を1コマ見せていただきましたが、注射器とか小道具を使った「お医者さんごっこ」をされていました。
大人の授業は、壁がない開放的な場所でしているので、お子さんがお母さんを見つけた時には「ママ~」となって、お母さんは授業に集中できないという一場面もありました。それでもDETiの先生達は子どもの扱いに慣れているので、あの手この手でお子さんの興味を惹きつけられていました。すごいホスピタリティです。
学校運営は高橋夫婦がされていますが、DETiにいるインターン大学生たちの存在もいいなと思いました。3人の男子大学生は現地農村の生活水準や教育水準を上げるために、実際に地元の人と協力して課題解決への取り組みをされていました。とても忙しそうでしたけど、3人とも子供好きで扱いが上手で、見ていて微笑ましかったです。
DETiではみんなと一緒に暮らすので、大家族のようです。すごくアットホームな雰囲気があります。ここでしばらく生活していたらおのずと社交性が磨かれる気がしています。
アクティビティ
あと、紹介しておきたいのがアクティビティです。自然豊かな環境なので、都会の学校ではできないような体験もさせていただきました。
ヤシの実とり
昔からヤシの木に登りたい願望があって「ヤシの木って、登れるものですか?」と、大海さんに聞いたら「登ってみますか(笑)?フィリピン人スタッフの中には素手でスイスイと登る人がいますよ。」と言われて、挑戦しました。まず、先生が登り方とヤシの実の取り方の見本を見せてくれ、続けて私も登ってみました。
近くで見るヤシの実は思ったより大きくて。ヤシの実をねじり取るのは大変でした。取れたと思ったら片手では持てない程の重量で、人がいない場所に投げるのが精一杯でした(笑)。落ちてきたヤシの実が頭に当たったら大けがしますね。もぎたてのヤシの実ジュースは格別でした!
出張マッサージ
少し贅沢もしました。出張マッサージをお願いして、お部屋で60分のスウェーデン式オイルマッサージを施術していただきました。夕食の後、皆さんと一緒に隣のバーでカクテルを頂いたのも幸せのひと時でした。大人がゆっくりできる環境があるのも親子留学としてはポイントが高いです。子供が授業を受けている間に、ゆっくりと過ごすお母さんも多いそうです。
DETiが合わないタイプ
DETiは、自然体験、異文化交流を望む親子、国際協力を学びたい大学生にはとても学びのある学校だと思います。でも、万人にあう学校はないです。DETiが合わないのはどんな人だろうと考えてみたら、3パターン思いつきました。
- ボランティア体験に興味がない英語上級者
- 英語試験のスコアを伸ばしたい人
- 途上国の環境が苦手な方
DETiは、現地の人や文化、価値観と出会うことに重きを置かれている学校です。「イノベーションスタディツアー」や「子供たちのためにソーシャルビジネスを立ち上げるインターンシップ」などの取り組みもされています。国際協力やボランティア活動に興味がなく、すでに英語上級者の方には学校との温度差を感じるかもしれません。
そして、DETiにはお勉強という感じの授業はありません。文法や単語を体系的に学んで、資格試験で成果をあげたい人は別の学校に行ったほうが良いと思います。
最後に、ザンボアンギータはフィリピンの田舎です。Wi-Fiが繋がりにくかったり、時々停電があります。日本と同じような環境を求めて来ると、不便を感じて居心地の悪さを感じると思います。また、学校近くにモールやスーパーはないので、日本クオリティの品物を求める方も辛いと思います。
4日間だけの留学体験でしたが、大人でも童心に返るというか、眠っていた人間の本能が動き出すというか、心ドキドキワクワクでした。まだまだ知りたい、学びたい。そんな気持ちになりました。
だからこそ…、10年前に、好奇心旺盛で、冒険が大好きだった小学生時代の娘と一緒にDETiに来たかった。母娘だけではできないワイルドな体験をDETiのスタッフがサポートしてくださるからです。娘は今ではすっかり手が離れ、一人海外旅を楽しむ年頃になり、もう親子留学は実現できそうにありませんが、いつかDETiで3世代留学をやってみたいなぁ、と目論んでいるところです。
私が滞在したのは2018年なので、学校の様子は少し変わっているかもしれません。でも、DETi周辺の自然豊かな環境はこれからも大きく変わることはないと思います。興味のある方は、DETi学校サイトで最新情報を見てみてくださいね!
滞在中に、大学生インターン松井リョウヤ君にインタビューをさせて頂きました。DETiの雰囲気がよく分かると思います。