アジアの社会問題の1つである食の問題。貧困エリアに足りないのはタンパク質なんです。話を聞いたのは、NPOイマジナス代表の高橋大海さん。NPOイマジナスはインドとフィリピンでスタディツアーを開催したり、インターン生を受け入れて社会起業家を育てようとしています。大海さんは、ドゥマゲテの語学学校のDETiでは教師のトレーニングを担当しています。
アジアの農村部の深刻な社会問題
フィリピンの教育制度を調べていて、切に思うのは、都会と村のギャップです。ザンボアンギータは町です。フィリピンの田舎の中では、ザンボアンギータは都会なんです。そして、都会と農村では大きなギャップがあります。政府が提供しているサービスに差があるんです。
日本はそのギャップが少ない。でも、フィリピンでは生まれた場所で人生がかなり決まってしまう。アンフェアなんです。教育省はそういう問題を知ってるけど、解決しようとしてない。政策は都市部にフォーカスしています。
村はすごく大変です。だけど、人間らしい、そのままの生活をしていて、キレイなんです。考え方も生き方もシンプル。だから、我々が介入して、変えたくない部分もある。でも、栄養失調とか、そういう問題はなんとかしたい。助かる命も助からないので。
農村部はお米が買えなくて、コーンライスと塩だけ食べていたりするんです。米に比べて、トウモロコシは育てやすいから安いんです。オカズはよくてドライフィッシュ。味が濃いドライフィッシュを少し食べて、コーンライスをたくさん食べるんです。オカズがなかったら塩ですね。
彼らの食生活はタンパク質が不足しているんです。だから、栄養失調でお腹が大きいんです。若いのに死ぬこともあります。知り合いの知り合いが死んだとか聞きます。栄養状態が悪いと、かからない病気になって、重症化するんです。もちろん病院にも行けないので、重症化したら死ぬ可能性も高いです。
途上国の食糧問題はタンパク質不足
NPOイマジナスは返済不要の奨学金をフィリピンでやってます。そこで、学用品の支給と、学校へ行くための交通費を支給してます。コロナ禍は、特別対応として食料も配布していました。タンパク質を配布してるんです。卵と肉です。鶏肉とか豚肉を1キロとか配っていたんです。
2023年度はそのタンパク質の配布はやってません。ただ、今後、別プログラムで食糧支援に特化したプログラムを開始しようと思っています。農村部の問題は食生活なんです。それを少しでもよくしたいんです。
食の問題の次は、教育です。農村部には教育を受けられない子供がたくさんいます。僕らがやっている語学学校DETiは、フィリピンのネグロスアイランドにあるんですが、面白いご縁があったんです。ネグロス繋がりで、ネグロス電工という会社がスポンサーになってくれたんです。その会社はフィリピン人スタッフがいるみたいです。そういう中で、フィリピンの子供たちに教育機会を提供することに関心を示してくれたんです。
日本ではほとんどの家庭が小学校や中学校での義務教育を受けることが当たり前になっている中で、この村ではその教育さえも十分に受けることが出来ていません。
https://www.imaginus.jp/negros-scholarship
だから、いまDETiの敷地内に別の学校を作ってるんです。フィリピン人の子供向けの学校です。学校に行けないフィリピンの子供達に、学ぶ機会を提供していきます。やりたいことに向けて前身できています。
(2023年4月訪問)
編集後記
フィリピンの田舎の人たちは、自給自足で健康的な生活をしていると感じることがありました。だけど、日本人から見たら田舎でも、フィリピンの中では都会の人でした。タンパク質が不足しているなんて考えたことなかったです。貧しいと炭水化物だけを摂取しがちです。炭水化物は安いからです。炭水化物の次は、タンパク質を取れるようになります。もっと豊かになると、栄養バランスを考えるようになってビタミンや食物繊維を摂る。経済力と食生活は密接に関係しています。フィリピンで本気でボランティアをやりたいなら、NPOイマジナスはおすすめです。厳しいと思います。だけど、めちゃ勉強になると思います。DETiも特徴的な学校です。