高校1年生の冬休みにセブ短期留学(セブのEV)を経験した16歳の娘は、2018年4月に地元公立高校からカナダ公立高校に編入しました。夏休みで一時帰国中なので、「カナダの高校留学は?」「フィリピン留学は有効だったのか?」についてインタビューしてみました。
カナダの高校留学体験談
念願のカナダでの高校生活はどうだったかな?
バンクーバーにある自然豊かな小さな町の学校なんだけど、近代的な校舎で最新の設備が整っていて過ごしやすいよ。先生たちは、宿題のやり方とか進路のこととかよく相談に乗ってくれるの。だから、疑問や要望はその都度解決してもらえて、すごく安心感があるよ。驚いたのは、日本の高校にはない「経営学」とか「観光学」とか選択教科数が多いこと。
1コマが75分で1日に4コマ授業があるの。それも学期中は毎日同じ時間割。
毎日、同じ時間割なの?
そう。例えば、クッキングを履修したら、毎日クッキング(笑)。
友達はできた?
たくさんできたよ。放課後はスケートとかバトミントンをしたり、川とか森に遊びに行ったりしてる。
ホストファミリーはどう?
とても温かい家庭だった。一緒に旅行に行ったり、アウトドアスポーツをしたり、家族の一員として迎えてくれている。この間は、もっと私の英語が上手になるようにって類語辞典をプレゼントしてくれて、すごくうれしかった。
一緒にニュースを見ながら解説してくれるし、逆に日本事情について聞かれることもあるの。だから私も日本のことを勉強しないといけない。話題はつきないからホームシックにかかることはないと思うよ。
英語は不自由ないの?
なんとか(笑)。半年前のフィリピン留学の成果は大きいよ。3週間だけだったけど、あの時から自分の意思を英語で表現することに抵抗がなくなったから。英語を使い始める時って、度胸がいるでしょう。言いたいことをスッと言える勢いはフィリピン留学で身に付いたと思う。ただ、カナディアンジョークは手ごわいよ~。まだ笑えないし、自分からジョークなんて言えない。カナダ人のツボが分からない(笑)。
逆に、日本のジョークを英語で言ってみて?笑ってもらえないはず。ジョークはその国のセンスもあるからね。今、通っている高校には留学生は多いの?
全校生徒1000人中80人位が留学生で、アジア、ヨーロッパ、南米から来ているよ。日本人は10人弱かな。でも、国籍ごと集団になって大きな声で母国語を使っている光景はフィリピンでもカナダでもどこも同じかな(笑)。
カナダの高校に行くのは、英語習得に効果的?
自分次第かな。カナダの高校は9時から15時15分までだから、授業以外の時間がたくさんあるの。
だから、放課後、現地の高校生とスポーツしたり、遊んだりしてたら、簡単な日常会話は身に付きやすいと思うよ。でも、授業で議論できる英語力を身に付けるには、自主的に洋書を読んだり、動画を見たり、エッセイを書いたりして英語を使うことを意識しないといけないと思う。
コミュニケーション力があったら、ノリで同年代は楽しめるのね?
そうね。高校生同士だとそんなに難しい英語は使わないからね。よろしくない言葉を連発している子も多いし(笑)。でも、読書家のカナダ人はさすがに語彙力も文章力もすごいよ。
留学生はどれくらいの期間留学しているの?
ヨーロッパからの交換留学生は1年間の生徒がほとんど。彼らは英語も上手だし、留学生活を謳歌している感じ。私は高校1年を日本で修了してすぐにカナダ公立高校に編入したでしょう。それは本当に良いタイミングだった。この2ヶ月半はいろんなことに挑戦して、失敗もいっぱいしたけどね。9月から正式にカナダの高校2年生になる前に早めに行って準備できたのは良かった。残りの2年間で、カナダ人と深い話ができるようになれたらいいな。
中学卒業と同時に高校留学していたらもっとスムーズにカナダで高校の勉強ができたのかな?
そうね。でも日本の高校生を1年間経験できたのも良かったよ。日本の高校生がどんな勉強をしているか知って、これからどうやって自分で続きをしないといけないか分かったし。やっぱり日本人だから、高校の学習範囲は押さえておかないとね。
カナダの高校の良いところ
日本の高校と比較してカナダの高校の良いところは?
カナダの教育は、知識をどう生かしていくかにポイントが置かれている感じ。ディスカッションとか発表が日常にあるから、生徒たちの表現力は高いよ。昼休みに特技大会みたいなのが開かれているの。化学元素記号を使ったジョーク劇は面白いよ~。毎回人気で、会場では笑い声とか歓声があがっているの(笑)。
カナダでは成績で順位がつくことはないから、他の生徒と比較しないで自分のペースで勉強できる。課題やテストにはもちろん成績はつくけど、Aがつくまで何度も再提出が可能なの。やる気があれば何度もチャンスがもらえるシステムはありがたい。
カナダの先生はどんな感じ?
カナダの先生は生徒に注意をすることはあっても、感情をあらわにしている場面はまだ見ていない。その生徒の問題という意識があるのかな….。日本では、成績が落ちると先生が授業中にみんなの前で名指しで「○○、それでいいのか~? お前のことが心配だっ!!」とか言うこともあるんだよね。まだ2ヶ月半での印象だけど、日本の先生とカナダの先生は生徒に対する距離感が違うと思う。
カナダでは9割の生徒が地元の公立高校に行くから、勉強が好きな子、スポーツが好きな子、芸術が好きな子、いろんなタイプの生徒がいるんだよね。
そう。だから、勉強をしたくない生徒には無理に強要していない。遅刻をしても、宿題をしてこなくて成績が悪くても、自己責任だから、あなたの生き方を尊重しますって感じ。
カナダの高校の残念なところ
逆にカナダの高校の残念なところも見えた?
一言でいうと、自由すぎる!勉強を頑張る子もいれば、授業をスキップして森でお昼寝したりする子、課題のレポートはコピペで適当に済ませる子、いろんな生徒がいる。ルールがなくて、全部自分で決めてその責任は自分で負う感じ。だから、化粧、ピアス、髪型、タトゥー、服装、男女関係、勉強、すべて自己責任。ホストマザーはカナダの高校生のことを「彼らはこれからどう生きるのかを学んでいて、勉強をしたい人は大学で学ぶんだよ。」って言ってた。
カナダの大学進学率は日本やアメリカみたいに高くないの。学問に熱心な人は大学で勉強するし、そうでない人は自分の得意分野を生かしながら大人になっているみたい。でもね、可笑しいなと思ったことがあるの。それはね、保守的な人に対して「もっと自由にしなきゃ!」っていう雰囲気があるところ。それは本当の自由ではない気がするんだけどね(笑)。
カナダに行って、日本の高校の良い所も見えたんじゃない?
そうだね。日本の生徒は超勤勉だと思う。日本の高校生がカナダに来て、同じくらい勉強に取り組んだらトップだと思う。だけど、成績のつけ方が違うからどうだろうね。得た知識を表現する機会が日本でもあればいいなって思うよ。
日本の高校の先生たちは、高校を卒業して、大学でカナダに留学したほうが良いんじゃないかっておっしゃっていたよね。その選択肢は今でもない?
教養も含めて専門分野以外のことを幅広く英語で学べるのは高校留学の魅力なんだよね。思考力と表現力も鍛えられるし。カナダの大学で学ぶつもりなら、カナダの高等教育から受けておいたほうが良い。
カナダに行く前は、日本の大学か、海外の大学か迷ってたよね?今はもうカナダの大学に進学する意志が固まったみたいね。決め手は何?
2020年度から日本の大学入試改革で受験制度も変わるでしょ。その大幅教育改革の最新情報をカナダで得て対策するのは大変だと思う。それよりも、カナダの高校の勉強に集中した方がいいかなって。それに、高校留学の目的は、将来、専門分野を英語で学ぶための下準備だから、やっぱり大学は英語圏に進学したい。
アメリカの大学は選択肢にないの?
カナダの大学を卒業したら、カナダ永住権を取得できる制度があるらしいの。カナダで就労後、一定条件を満たさないといけないんだけどね。英語圏の国の中では、カナダは永住権が取りやすい国の一つみたい。大学卒業後もその国で、期間を気にせず仕事ができるのはすごくいいと思った。アメリカの大学では、卒業して1年間はアメリカで働けるけど、その後、永住権をとるのは難しくて帰国するパターンが多いみたい。それに、学費はアメリカよりカナダのほうが安いしね。
う~ん。安いって言っても学費は高いからね。大学では奨学金が取れるように、高校2年間がんばってください!志望しているカナダの大学の入学基準は?
高校の成績がほぼオールA。TOEFL100かIELTS7.0。プラス誇れる自主的な課外活動。
レベル高いね~。高校3年生になったらすぐ大学出願の準備を始めないといけないからね。2019年10月までには基準を満たしておかないと。TOEFL100とかIELTS7.0って、あと1年2ヶ月で達成できそうなの?
がんばる!
いや~、がんばるって言っても…。カナダの高校でカナディアンと授業を受けて、オールAの成績をとるだけでも大変なのに、その合間にTOEFLとかIELTSとか自分で対策して結果を出すのは至難の業でしょう?まずは、TOEFLかIELTSかどちらかにしぼらないとね?
そうね。フィリピン留学ではTOEFLコースだったけど、今はIELTSにも興味があるんだよね。だからまずはIELTSの過去問をやってみようと思う。
前回のフィリピン留学では3週間でTOEFL 52から78まで伸びたでしょ?だから、またフィリピンでIELTS対策をしてみたらどう?その方が効率的だと思うよ。
う~ん。フィリピンは好きなんだけどね。もう行きたくない…。
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