フィリピンの語学学校では、著作権違反のコピー教科書を利用して英語授業をおこなっていることが多いです。セブのクロスロードとBTB(Beyond The Border)に留学してコピー教科書にショックを受けた生徒の話です。教科書が気になる人は、留学前に学校の教科書をチェックすることをお勧めします。
フィリピン留学の英語教科書が著作権違反のコピー本
BTBではトラブルがあったんですか?
トラブルってわけじゃないんですが、ずっと引っかかってるのが、コピー教科書の問題です…。著作権を無視して、市販本を丸々コピーして生徒に販売していて。BTBはDMEもコピー本でした…。
DMEは使うのにライセンスが必要な教科書ですから。コピー本は違法ですね…。
そうですよね。
コピー教科書の問題は難しいんです…。実際、フィリピンでは、コピーの教科書を使っている学校は多いです。フィリピンではコピーは当たり前で、フィリピンの街には、本を持って行くと、コピーして製本してくれるお店が山ほどあります。フィリピン人はそれを利用しています。路上で違法コピーのDVDも売ってますし、著作権に対する意識がフィリピン人と日本人で違うんです。もともと韓国人が韓国人のためにフィリピンに学校を作ったので、韓国人もコピー問題の意識は低かったんだと思います。ベトナム人とかアジアの生徒は気にならないのかもしれないし…。
それを中谷さんに聞いて、ベトナム人の生徒に「コピーした教科書を買うのはどう思う?」って聞いてみたんです。たしかに、彼らはコピー教科書は気にならないみたいです。「仕方ない」って言ってました…。だから、僕の考えもちょっと変わってきて、他の国の生徒もいる格安学校なら仕方ないと思うようになりました。
コピー問題はフィリピンの学校全体の問題ですね。今後、フィリピンに中国人経営の学校も増えてくると思いますけど、コピーの教科書を使う可能性は高いですね…。フィリピンだけじゃなく英語学校全般の問題な気がします。
ただ、「正直な授業」とかアピールしていて、留学費用の高い日本人経営の学校が、教科書をコピーして販売するのはダメだと思うんです。あるスタッフさんに「なんでコピー教科書なんですか?著作権は大丈夫なんですか?」って聞いたら、「大丈夫大丈夫、他の学校も使ってるから。」って言っていて。それは理由にならないですよね。著作権について調べたら、フィリピンの著作権法でもコピーは著作権侵害なんですよ。「いずれ罰することがある。」って書かれているんですよ。
日本人経営の学校では日本語の教科書を使ってることもあるから。日本で見たことある英語教材をコピーして販売していると当然気になりますよね..。
もし、コピー教科書を使うのが問題ないと考えているのであれば、もっと堂々としてたらいいと思うんです。ブログに堂々とコピーの教科書を載せている学校もあるんです。
でも、BTBでは教科書をコピーしに行くときコソコソしているし、学校外の人が参加するイベントをやるときは、キッチンにコピー教科書を隠してるんです。
著作権違反している自覚はあるんですね…。コピー教科書について学校に聞いたんでしょ?学校はどう答えたんですか?
オーナーの岡本さんは、「クロスロードの時からコピー教科書が駄目なことは分かっていて、BTBではやめようと思っていたんですが…。できる限り早く改善します。」って言ってました。だけど、僕が卒業する時には、まだありましたね(笑)。
日本人マネージャーは、「フィリピンにはフィリピンの理由があって…」ってみたいな説明だったので、「もし、出版社の人が生徒として留学してきたら、どうするんですか?」って聞いたら、「その時はなんとも言えない。」って。残念ながら、教科書のコピーについては納得のいく説明はもらえなかったですね…。
(2018年6月12日(火)セブにて)
編集後記
アジア旅行していると著作権侵害は当たり前に起きているので、海外やフィリピンの著作権事情について少し解説しておきます。
海外で著作権侵害したらどうなるの?
公益社団法人 著作権情報センター(CRIC)のサイトには、以下のように書かれています。
著作権に国境はありません。著作物は、国境を越えて利用されるため、世界各国は、条約を結んで、お互いに著作物や実演・レコード・放送などを保護し合っています。このような国際的な保護は、著作権は「ベルヌ条約」と「万国著作権条約」、著作隣接権は「実演家等保護条約」と「レコード保護条約」などによって行われています。我が国はいずれの条約にも加入しており、世界の大半の国と保護関係があります。
https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime5.html
フィリピンで著作権侵害が生まれる理由
フィリピンでは本は高価なもので、本屋もまだまだ少ないです。海外の本を輸入すると当然高いので、フィリピン人はコピーして使います。コピーして製本してくれるお店があって、みんな利用しています。フィリピンに限らずアジアの途上国では著作権の意識は低く、本をコピーして利用することは日常的に行われています。
韓国人がフィリピンに学校を作ったとき(1998年ごろ)、海外で有名な英語学習本や、韓国語で有名な英語学習本をコピーして教材として使いました。その後、日本人が学校を作りました(2008年ごろ)。ほとんどの日本人経営の学校は韓国人学校のコピーだったので、英語教材も同じでした。つまり、海外で有名な本か韓国で有名な本です。しかし、一部の日本人経営の学校が日本で有名な英語学習本をコピーして使いはじめました。そして、著作権違反に気づいた生徒が声をあげはじめました。
著作権違反したくないので教科書を購入しようとした学校もあります。しかし、フィリピンは本屋が少ないですし、外国人が英語を学ぶ教材なんてなかなか手に入りません。だから、買うとしたら輸入しないといけないのです。こういった状況の中、教科書問題は起きています。
ですので、著作権違反のコピー教科書の問題はクロスロードやBTBに限った話じゃないです。フィリピンの学校のほとんどが該当します。気になる方は、自分が留学する学校がどんな教科書を使っているのか事前に調べてみてください。独自の教科書を作っていたり、日本の教科書を購入して利用してる学校も少しだけあります。
留学費用が安いならコピー教科書でも仕方ないと思う人もいるでしょうし、著作権違反なんて絶対嫌な人もいると思います。フィリピンの学校を選ぶときに教科書も1つの基準にしてください。生徒の見る目が肥えれば、学校も変わっていくと思います。