マニラで貧困問題を考えるスタディツアーでよくでてくるハッピーランド。治安が悪いマニラのトンドにあるスラム街「ハッピーランド」で見たパグパグが衝撃でした。
トンド地区のスラムのハッピーランド
治安が悪いと言われているフィリピンのマニラ。その中で、行ってはいけない危ない地域としてよく挙げられるのが、Tondo(トンド)とQuiapo(キアポ)。置き引きやスリが多く、犯罪も多い。
そのトンドにハピラン(Hapilan)というスラム街がある。いまはハッピーランド(Happy Land)と呼ばれていて、NPOや旅行代理店がスタディツアーをよくやっています。観光地のようになっているハッピーランドに行くことにしたが、行く前に調べていたら、フィリピン人のブログが参考になった。
Hapilanは現地語で「ゴミ捨て場」という意味だと書いているサイトが多いけど、タガログ語で調べても「ゴミ捨て場」ではなかった。気になるのでハピランを調べていると、フィリピンの貧困問題をあらわす場所で、歴史的にも複雑なエリア。そんなマニラのスラム「ハッピーランド」に行ってみた。
道路上でゴミの分別やリサイクル活動
マカティからタクシーで40分ぐらい。海岸沿いを北上して歴史的な街並みが残る観光地のイントラムロスを過ぎて、さらに北上する。だんたん景色が雑多になり、トラックが増えてきて、ローカル感が増す。
トンド地区の一部では、道路上でゴミの分別やリサイクル活動が行われている。R-10(Radial Road 10)という大きい道路沿いでは廃棄物処理活動がいまでも行われています。スモーキーマウンテンはもうないけど、ゴミが集まる場所のようです。
大きなトラックが行き来して、その間をゴミを運ぶ人がすり抜けていく。埃がすごい。
粗大ゴミ、プラスティック、タイヤ、木などが分別されて積み上げられている。どれぐらいのお金になるのか尋ねると、プラスティックを1キロ集めて2ペソ。ゴミのリサイクルだけで生活するのは困難。それでも、学校に行く前に働いている子供たちがたくさんいた。
ホース周辺には人だかりができていた。洗濯をしている人がいれば、タンクに水を入れている人もいた。無料の水のためにやってくるそうだ。水浴びをしている子供の頭を冷やすアイデアが斬新だった。
スラムのハピランエリアの現状
大通りを中に入っていくとハッピーランドです。
ガイドと一緒に昼間に行ったので、ハッピーランドの治安は悪いとは感じなかった。スラムという印象もない。のどか。
街は普通だった。学校も教会もあって、路上では子供たちがバスケをしている。フィリピンのどこにでもある光景。ゴミで臭いと思っていたけど、まったくそんなことはなかった。
1ペソ投入口があるウォーターサーバー、Wi-Fiの自動販売機があちこちにある。インターネットに繋がるのだろうか?
サリサリストアの横にはむき出しのネットカフェがあって、そこにも1ペソの投入口。雨が降ったらどうするんだろう?普通のネットカフェもありました。
路上は鶏だらけ。飼育している鶏なのか、闘鶏の軍鶏なのか。ハッピーランドの近くにはトンドで有名な闘鶏場がありスタディツアーのスポット。スラムにいる人たちは闘鶏に夢を見るのだろうか。
パンケーキを焼く人、1日中ニンニクの皮を剥く人、1日中グリーンマンゴーを剥く人
小さな街なので、1周しても15分ぐらいです。
貧困問題の象徴パグパグ
ハッピーランドで衝撃を受けたのがパグパグ(PagPag)。ゴミとして捨てられた残飯を食べているんです。
パグパグ(タガログ語、pagpag)とは、フィリピンにおいて貧困者が残飯を食糧として生活している問題のことである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/パグパグ
「ここは撮影したらダメ!」と言われた場所があったんです。そのエリアにはゴミ袋が積み上げられていて、ゴミ袋には有名なお店のロゴが入っていた。
ゴミ袋の中身はプラスチック、紙、ペットボトル、そして、食べ残しに分別される。その食べ残しを洗ってまた調理して販売するんです。それがパグパグ。簡単に言うと、残飯を食べているんです。路上屋台を指差して、「あれがパグパグだよ」と説明された。
鳥の唐揚げ、1袋が30ペソ。骨部分が多かった。家族で朝昼晩、米と一緒に食べるそうです。「食べる?」って言われたけど、食べなかった。食べている子供がこっちを見て、笑顔で「おいしいよ!」と叫んでいた。だけど、正直ちょっと怖かった。
今までいろんなところでスラムに行ったけど、パグパグを見たのははじめて。衝撃的だった。フィリピンの貧困問題を考えさせられた。説明されないと通り過ぎていた。
少し歩くとカレンデリアがあった。「パグパグ?」って聞いたら、呆れた顔して、「違うに決まってるでしょ!」と怒られた。
「トンドは治安は悪いの?」ってガイドに聞いたら笑っていた。ハッピーランドには20000人が住んでいるらしい。(子供は含めない)。部屋はだいたい月1500ペソ。トイレなし、電気なし、水なし。
子供たちは外国人を見ると笑顔でハイタッチしてくる。目が合うと「写真を撮ってくれ!」とポーズを撮る。お金を請求されることはなかった。
スラムに行くとカルチャーショックを受ける日本人は多い。貧困問題を目の当たりにしてショックを受けて、さらにスラムで生きている人たちが楽しそうなことにショックを受ける。この街であった人たちもみな笑顔だった。
マニラのスラムツアーは考えさせられる
スラムで見たパグパグは衝撃でした。マニラに行く機会があれば、スラム街を見に行ってほしい。生まれた場所による世界の不平等を感じられる。たまにスラムツアーのガイドを頼まれるけどみんな行ってよかったと言います。オススメです。