海外インターンで学んだことはNGOの現状とお金の大切さです。

NGOのリアルな現状を学んだ学生の体験談

24歳男性

NPOインターンで環境デザインを学ぶ体験談

いまはセブで働いてますが、昔にセブに留学しました。でも、実はNGOも3つ経験しています。とても学びがあったのでシェアさせてください。親が農業しているのもあるかもしれないですが環境デザインに興味があったんです。

ーー環境デザインってどんなことをやるんですか?

例えば、水の動きでいうと、今の都市開発では、いかに街から水をなくすかを考えるんです。都市の場合、道路がコンクリートで埋められているので、雨が降ると水は横に動くんです。だから洪水が起きないように、どうやって水を海に流すかを考えるんです。

ただ、どこかの川に入ると、川の容量を超えたら大洪水が起きるので、横の流れだけでは完全にコントロールできないんです。雨ってどれだけ降るか読めないし、気候変動とかいろんな問題があるからです。

一方で、山では水の動きが縦なんです。木の中で上から下に水が溜まるからです。ヨーロッパでは、自然にある水の縦の動きを街に取り入れようとしています。

ーー街を緑地化するってことなんですか?

そうですね。でも、都市をジャングルには戻せないから、その場所の制約の中で考えるんです。例えば、道路沿いに花壇エリアがあれば、水が浸透しやすくするとか。マチュピチュとか、昔の都市では、そういう風にちゃんとデザインされてるんですよ。

ーーじゃあ、環境デザインは自然災害に強い町を作る研究?

そういう解釈もできます。でも、他の見方もできます。たとえば、地球温暖化の対策です。今、東京はすごく暑いじゃないですか。東京は、街が全部コンクリートで埋め尽くされていますよね。コンクリートは土とか木より熱の吸収量が大きいから、熱を蓄えて熱くなるんです。真夏の芝生を触っても熱くないけど、真夏のコンクリートを触ると火傷するじゃないですか。だから、対策として、木を植えて地面に直接光が当たらないようにするんです。

いろんな国の都市を巡って、街のデザインを研究しています。街のデザインと関連して、哲学的なことや人間の健康を考えるのも好きです。人間と自然の繋がり。健康とかメンタルヘルスにも、自然の存在が大事だと思ってます。

マレーシアの大学のNGOで環境デザインを学ぶ

元々社会貢献やNGOに興味がありました。特に環境系に興味があってマレーシアの大学に入ったんです。半年ぐらい経って、授業にも慣れてきたとき、授業だけだと面白くないから、何かしたいと思うようになりました。コロナの時は、オンラインサロンとかオンラインコミュニティにも入っていました。何かを体験するのが好きなんです。

そのとき、僕の数学の教授が環境系のNGO団体を作って、人を募集していたんです。応募したら選ばれて、プレジデントを1年ぐらいやりました。21歳のときだと思います。

大学の中の組織なので、博士とかマスターとか院生もいて年上が多かったです。プレジデントだったけど、教授たちの意向も汲み取らないといけないので、雇われ社長みたいな感じでした。

人が自然にリサイクルするような仕組み作りを大学内に作りました。たとえば、リサイクルのイベントをやったり、大学内にリサイクルセンターやリサイクルのゴミ箱も設置しました。ペットボトルを分別してベンダーに送ったり、循環する仕組みも作りました。

仏教系NGOで慈済(Tzu Chi、ツーチー)という台湾の有名な団体と提携もしました。大学生をリサイクルセンターに連れていって話を聞いたり。それが、リサイクルに関わるようになったきっかけです。学ぶことも多くて、コミュニティデベロップメント、やっぱりコミュニティって大事だなって思いました。仕組みですね。

コミュニティデベロップメントを学ぶためNGOで働く

大学でその活動を1年ぐらいやったとき、実際のNGOの現場に興味を持ったんです。キャリアにしたい気持ちはなかったけど、コミュニティデベロップメントを学びたいと思いました。

それで、知り合いにNGOを紹介してもらって、クアラルンプールの環境系NGOに入ったんです。自分が本当にやりたい環境デザインの仕事ではないんですけど、大学での活動の延長線上でした。

そこのNGOは幅が広い活動をしてました。すでにプロダクトがあって、企業から依頼があった時に、その中から選ぶんです。主に、植林、ゴミ拾い、川の清掃です。あと、ワークショップをしたり、街にガーデンを作ったり、学校に物資の支援をしたり、壁を塗り替えたり、サイエンスガーデンを作ったり。いろいろやってました。

企業に営業してスポンサーを募って活動することもあるし。企業から「CSR活動として植林がしたい」みたいに連絡が来る時もあります。国のプロジェクトに応募することもあります。

ーー企業のCSR活動の場合、企業が指示を出してくるんですか?

ケースバイケースです。ほとんどの場合、予算を伝えられて。「木を植えたいです」とか「川を綺麗にしたい」とか、要望が伝えられます。

デカトンというフランスのスポーツメーカーがあるんですが、デカトンはうちのお客さんたちと川を綺麗にしています。清掃、植林が多いですね。

ーーそのNGOで何を担当してたんですか?

全部やってました。20年近くやってるNGOなんですけど小さいんです。正社員3人ぐらい、インターン4人ぐらいで全部回してます。プロジェクトは何個も同時進行してるので。ある程度できるなってなったら、プロジェクトを任せてくれるので、全部自分で決めてました。

ーーそれはアルバイトなんですか?

有給インターンです。お金をもらえます。月2万もないですけど。

ーーインターンって毎日働くんですか?

基本は月から金なんですけど。企業がボランティアをしたり、CSRのイベントを開催するのは大体週末なんですよ。だから基本的に週末も働いてます。平日は朝から夕方、イベント前は夜まで働いてます。ブラック企業ですね(笑)。

ーーその時は大学生なんでしょ。学校は?

セメスターブレイクです。海外では大学の夏休みとかにインターンをやることが多いです。僕は3ヶ月間やりましたが、フルタイムで1ヶ月、2ヶ月頑張る感じです。プロジェクトベースで案件が来て、みんなと相談して毎回頑張る。

ーー日本の大学生もNGOでインターンできるんですか?

できますよ。昔、日本の大学生もいました。3か月ぐらい。

ーーフィリピン留学のあとにNGOで働くのはよさそうですね。どうやったらそういう仕事を見つけられるんですか?

ネットワークがないと情報収集は結構難しい気がします。僕は知り合いから教えてもらって、ウェブサイトから応募しました。英語で探さないと無理です。日本語で情報が出てるようなNPOは多分たいした仕事は経験できないと思います…。

NGOで学んだのはお金の大切さ

学びは大きかったです。NGOの現状とプロジェクトマネジメントを学びました。計画を立てて遂行する能力が身につきました。どこでも必要ですし、今も生きてます。

ーーNGOの現状とは?

組織の人も言ってたんですけど。NGOでは自分の本当にやりたいことはできないです。企業がお金を出すから、企業のやりたいことに合わせていくんです。あわせられる範囲内でやっていくのがNGOです。

ーーそれはNGOじゃなくても、会社でも一緒ですよね。組織では自分のやりたいことは基本的にできない。

そうですね。NGOの場合、スポンサーが強いです。だから「このスポンサーはめんどくさいとか、やりやすい」とか、そういう話がでます。お金を出す人との依存関係が強いです。コロナの時にたくさんNGOが潰れたんです。それはスポンサーだった企業がCSRをやる余裕がなかったからなんです。NGOはスポンサーがいないと成り立たない。自立はしてないんです。

NGOにいる人はみんなやりたいことが何かしらあるんですけど。やりたいところに特化しすぎて。やられる側のことがあんまり見えてないことがあります。スラムに行ってキャンディをあげても、何も変わらないじゃないですか。それは人助けでもなくて自己満足。

だから、仕組みが大事だと思ってます。ちゃんと回っていくのか。恩恵を受ける側が、どう恩恵を受けるのか。今日受けて、来年も受けるのか。循環する仕組みがないと、瞬間的な満足だけで、そこにお金を入れる意味ってあんまりないと感じました。いろんなNGOを見てきたけど、一過性のプロジェクトがたくさんあります。

いろいろ経験して、NGOでは何かを変えるのは難しいと思いました。だから、僕はお金持ちになりたい。やりたいプロジェクトがあったらやりたい。必要ならお金を出したいし、必要なら仕組みを作る手伝いをしたい。やっぱり経済活動にしないとダメ。NGOでいろいろ経験してそういう考えになりました。

NPOやNGOはお金を稼ぐことをよくないことだと思ってるところがあるんですが、でも、お金がないと続かない。

ーーお金を稼ぐのは良くないと思いながら、「カンパお願いします」「助成金お願いします」「CSR予算をお願いします。」って言ってますから。結局、お金がないと生きれない。

お金が作り出せる感覚があれば、質や仕組みにフォーカスできると思うんです。でも、自分のやりたいことにフォーカスして、「お金は誰かください!」というスタンスだと、実行することしか考えないから、仕組みや質にフォーカスしないと思うんです。質を考える必要がないから。

NGOを経験したことで、お金を稼ぐことが大切だと思うようになりました。NGOも仕事としてはいいと思うし、彼らは社会に対して影響を与えてると思います。やってる人を応援したいけど、僕が目指してるものとは違う。

でも、離れたいわけじゃないです。今後も機会があれば一緒にプロジェクトやりたいし、なんならスポンサーになって、彼らのプロジェクトを進めたい。でも、僕はやっぱり仕組みを作りたい。デザインをしたいんです。

ーーデザインっていうのは、仕組みなんですよね?

近いです。街のデザインでも、人が急ぐように設計すれば、人は早く歩いて、ストレスをかかえていくと思うんですけど。心が落ち着くような設計をすれば、ゆっくりできると思うんです。人って自由だと思って生きてるけど、割と決められた法律やルールの中で無自覚に生きていて。だから、いいデザインをすれば、勝手にいい方向に向かうんじゃないかって思ってます。

自然にも人にもいい空間デザインがしたい

ーー空間のデザインをしたいんですか?それとも、組織のデザインをしたいんですか?

空間です。例えば、森林浴ってあるじゃないですか。あれって結構研究されていて。森林浴はストレスとかメンタルヘルスにいいっていう研究結果が出てるんです。

ストレス軽減が目的ならみんなにうつ病の薬を渡せばいいって意見もあると思うんです。でも、それは対処療法なわけで。自然っていうキーワードが大事なんです。

木を植えることで、人の心もちょっと良くなって、気温も下がって、気温も下がれば、みんなの汗が少なくなって、ストレスもなくなる。木を植えたら、根が張るので、洪水対策になる。木を植えるだけで、いろんな利益があるんです。人々の意識や行動を変えるんじゃなくて、人々の意識が勝手に変わるようなデザインを作ることに興味があるんです。

ーーその考え方の延長線上って、人類は発展しない方がいいってことにはならないんですか?自然に戻るというような考え方もありますよね?

それもまたちょっと違う。僕の界隈にはそういう人は結構多いです。自然に帰れとか。でも、僕は、発展を止めることはできないと思っています。だから、発展しつつも、自然にもいいし人間にもいい。発展すると絶対に環境破壊はあるけど、いかにバランスを保てるかを考えたい。

ーー植林とか園芸を自分でもするんですか?

しますよ。大学に自分のガーデンがあります。昔、自分でお米を作ってました。狭いスペースでもバケツで作れますよ。僕の教授は、ずっと大学で教授をやっていて、いまはリタイヤして、田舎に帰って農業の研究をしてます。人間は何千年も前から農業をしてきて、その中で生きてきたわけなんです。自然のデザインを知る上で、農業は1つのキーワードで、自然と人間の関係が詰まっていると思うんですよね。NGOではいろんなことを学べました。興味ある方は経験してほしいです。

(2024年8月20日)

編集後記

フィリピン留学は、海外にでる第一歩としてオススメ。次のステップとしてワーホリもいいけど、海外NGOで3ヶ月間インターンもオススメです!いい事例だと思ったのでNGO体験談を記事にしました。

ボランティア体験談

トラブル体験談

中谷 よしふみ

エンジニアベースの元コンサルタント。2012年にフィリピン留学を体験。自身の体験をシェアするため、このサイトを作ると、サイトが有名になり、学校に呼ばれるようになる。体験した学校は100校以上。いろんな学校を体験すると、ほとんど同じだけど、一部の学校は全然違うことを知る。業界で一番詳しい自信を持った、2016年に「英語はフィリピンで学べ」という書籍を出す。TOEIC845(リスニング450、リーディング395)。年間半分以上は海外で生活しているノマドクリエイター。英語を身につけて日本から出て視野を広げてほしい。そんな思いでエージェントをやっています。

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